週が明けて辛そうに入ってきた新患さん。手を動かすことが出来ません。
見ると右手の甲が少し腫れています。内出血はまだ出ていないようです。
来院される前の日に最近流行っているボルダリングというスポーツをしていて傷めたそうなのですが、見た目だけでは判断つきにくいケースのようです。
けがをしたきっかけは足を次の目標のホルダーに移動させるために体重を自分の指に預けた際に、パキッとプラスチックが折れたような音がして動けなくなったそうです。
指を動かしてもらうとある程度は動かせます。屈曲伸展と繰り返してもらいましたが大丈夫。
僕が動かしても大丈夫。(ちょっとホッとする)
ただ、指先から手の甲に向けて押したり、引いたりするとすごく痛がります。
捻るともっと痛がる。この一連の検査は介達痛と言って骨折の有無を確認するための重要な検査です。
かなり骨折が疑わしくなりました。
慎重に患部と思われる箇所を触診していきます。
手の甲にある第2中手骨という骨を頭のほうからゆっくり触っていくと中央に骨がらせん状に割れていることが確認されました。
内出血は見られないのですが、まず間違いなく骨折しているようです。
すぐに固定して、レントゲンを取っていただくように病院に連絡を入れました。
写真は病院から貸し出されたものです。骨幹部に見事にらせん状に骨折線が入っていることが確認されました。
骨というのは、縦方向の力には強いのですが、捻られると意外に簡単に折れてしまいます。
おそらく、指に力が入ったときもその捻る力が指に集中してしまったのでしょう。
通常らせん骨折は見た目派手ですが、接地面積が大きいので付きが良い骨折です。
ただし、今回の骨折は少し慎重に治療したほうがいいかもしれません。
受傷機転が自荷重によるものでしかないので、骨折の仕方に少し違和感があります。
もうひとつは出血が少なすぎます。
この2つから想起されるのは疲労骨折です。
疲労骨折とは病的骨折の中に分類されています。
使いすぎて血流が悪くなっていたり、場合によってはもっと悪いケースも想起しておかないといけません。
というわけで、何かの参考になればと思い、今回はちょっと不思議な骨折の症例を取り上げてみました。
雪が解けても路面が凍結しているところもまだまだあります。みんなで注意して怪我のないようにしましょう。
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